ジェットエンジンの動作行程は、自動車に普通に使われているレシプロエンジンと似ています。

ただし動力エネルギーを伝える相手は、道路と空気という大きな違いがあります。


   


まず自動車のレシプロエンジンには@吸気、A圧縮、B点火・燃焼、C排気の4行程があり、これらをピストンの上下運動で行います。


  


             


自動車はタイヤを回すためピストンの上下運動が役立ちますが、飛行機では相手が固体のタイヤや道路ではなく気体である大気です。

そのため、燃焼エネルギーによりピストンなどを押す必要がなく、燃焼ガスの噴射出力がそのまま推進力として使えます。


     


そこで圧縮をピストンではなくプロペラで行えば、連続した圧縮、燃焼行程が可能になります。

プロペラというのは背後の空気を吸って気圧を下げ、前の空気を押し出して気圧を上げ風をつくる、気体圧縮機でもあります。


                  


そして非常に高い気圧にするためには、プロペラを何段も重ねて隣接配置する必要があります。





排気プロペラは燃焼ガスにより回され、その回転の動きが吸気、圧縮プロペラを回します。

ただし最初に吸気プロペラを圧縮空気で回し、燃焼を開始させなければエンジンを始動できません。

この行程は自動車のセルモータと同じで、違いは回転ベルトによりエンジンを回すか、風圧により回すかという点でしょう。

自動車ではバッテリー駆動のセルモーターを使い最初の吸気を行いますが、ジェット旅客機ではセル以外にも駐機中の発電など多用途を受け持つ小型レシプロエンジンが積まれていて、これで圧縮空気を作ります。

余談ですが、ここに小型のロータリーエンジンが組み込まれたら、軽量化に貢献するかもしれません。

プロペラ式の飛行機は、プロペラで作り出せる風の速度より早く飛ぶことができませんでしたが、ジェットエンジンのプロペラは燃焼に必要な空気を送るためのものです。

そして燃焼ガスの勢いがそれよりもはるかに早く吹き出せたら、プロペラ機の限界速度を超えることができます。